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鍼灸物語 第二話 家族の健康をまもる“お灸の時間”

〜あたたかさでつながる、江戸の家族〜

パチパチと、囲炉裏(いろり)の火がはぜる音が聞こえます。

夕ごはんのあと、家の中にゆったりとした時間が流れはじめました。

「さあ、今日はお灸の日だよ。」

お母さんが、やわらかい笑顔で声をかけます。

子どもたちは、少しドキドキしながら並びました。

 

 家の中で“お灸”をしていた時代

江戸のころ、人々は病院にすぐ行ける時代ではありませんでした。

だからこそ、家の中で体をまもる知恵がたくさんあったのです。

そのひとつが「お灸」でした。

よもぎの葉から作った“もぐさ”を小さく丸めて、ツボの上にのせて火をつけると、

じんわりとしたぬくもりが、体の奥まで届きます。

お灸をすると、血のめぐりがよくなり、体がぽかぽかに。

「冷え」や「疲れ」にもよく効く、家族みんなの“おまもり”のような存在でした。

 

  お母さんのお灸

「今日は足がつかれたでしょ? 足三里にお灸をしておこうね。」

お母さんは子どもの足をやさしく拭いて、小さなもぐさをのせます。

少し煙が立ちのぼると、ふんわりとよもぎの香りがひろがりました。

「ちょっと熱いけど、がまんできる?」

「うん、あったかいよ。気持ちいい。」

お母さんの指先はあたたかく、

お灸の火といっしょに、家族の心までほぐしてくれます。

 

  おじいちゃんの“足三里”

そのすぐそばで、おじいちゃんは自分の足にお灸をすえていました。

「ここが“足三里(あしさんり)”。昔から元気のツボって言われてるんだ。」

旅人が長い道を歩く前に、

「足三里にお灸をすえると、疲れない」と言われていたそうです。

おじいちゃんの声を聞きながら、

子どもたちは「自分も元気でいたいな」と心の中で思いました。

 

 お灸は“家族のぬくもり”

お灸は、ただの治療ではありません。

それは、家族を思う心のあらわれでもありました。

「冷やさないようにね」

「無理しないでね」

そんな言葉の代わりに、お灸のぬくもりが語りかけていたのです。

火をつける小さな手。

見守るやさしいまなざし。

部屋にただようよもぎの香り。

それらが、家族の絆をそっと包んでいました。

 

 いまに伝えたい“お灸の時間”

現代でも、お灸は変わらず人をあたため、いたわってくれます。

疲れた日や冷えた日に、自分の体を思いやるように

ツボにそっとお灸をすえてみましょう。

体を温める時間は、心を休める時間。

昔の人が大切にしてきた“お灸の時間”は、

いまの私たちの生活にも、やさしく寄り添ってくれます。

 

  おわりに

お灸は、「痛みを治す道具」ではなく、

**家族の健康をまもる“あたたかい文化”**でした。

よもぎの香りに包まれて過ごすひとときは、

昔も今も、変わらないやさしさで満ちています。

今日も、あなたの体に小さなぬくもりを――。

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